【映画】『憐みの3章』あらすじ/感想
観てきました。
観終わった後の正直な感想としては
「良く分からん」
でした。
ですが、この感想は予想していたことで、『ヨルゴス・ランティモス』監督の作品を過去に何度か視聴していたので
「この映画もきっと良く分からないんだろうなぁ」
と言うことを胸に映画館へ足を運んでいました。
映画館へ足を運んだのは、正直なところ「良く分からないだろう」という予感があったからこそでした。
ヨルゴス・ランティモス監督の過去作で何度も同じような感覚を味わいながらも、なぜか引き寄せられる。
その独特な世界観と解釈を試されるようなストーリー展開が、私にとっては一種の挑戦のように思えてしまうのです。
「また理解できないかもしれないが、それでも観てみたい」という不思議な期待感が、私を映画館の席に座らせたのです。
この映画は、まったく異なる3つの物語で構成された映画で,それぞれが独立した話であり、共通しているものは3章とも同じキャストを起用、そして、狂気を感じる話であることです。
第一章『R.M.Fの死』
『ロバート』は上司である『レイモンド』に食べるものや結婚相手、性生活に至るまでの全てを監視、支配され妻への流産も命じられそのすべてを忠実に従っていた。
ある時、レイモンドから青色のBMWの車に追突することを命じられる。
親と子供の関係のような、何と言うか。
言いつけを守るとご褒美を貰らえて、守らなければ拒絶されてしまう。
思春期のように反発するとレイモンドから距離を置かれてしまい、それに恐怖?を感じたロバートは遂にBMWの男を轢き殺してしまう。
すると、一転してレイモンドはご褒美を与えるかのようにロバートを温かく迎え入れる。
親子と言うか、考えることをやめてしまった民の用にも見えるこの構図。
私の頭ではなんとも「良く分かりません」
途中でご褒美としてレイモンドから貰った『テニスラケット』がかなり意味ありげに見えました。
これが何かのキーだと思うんですけどねぇ。
第二章『R.M.Fは飛ぶ』
警察官の『ダニエル』は、妻の『リズ』が海洋調査の際に行方不明になってしまったことで、心に深い傷を負っていた。
しばらくすると、行方不明になっていたリズが生きて発見され、再会を果たすも彼女は別人のように変わっていた。
これが一番良く分からなかった。
別人のように変わってしまった妻を試すかのように
「君の指が食べたい」「足が食べたい」「肝臓が食べたい」など狂った要求をしてくるダニエル。
ダニエルが試している側だから当人は正常かと思えばそうでもなく、誤って発砲した人間から流れ出る血を舐めて医者から薬を処方されるなど、とうてい正常とは思えない。(戻ってきた妻が別人に変わっているのだから正常に病んでいる可能性もあるが)
手掛かりとなるのはリズ(別人)が見ていた犬と人間の主従関係が逆転している夢。
別人のリズを犬(従者)とするならば、ダニエル(主人)の様々な無理難題に答えるのも多少はうなずける。
犬と関連して、ダニエルが血を舐めたりしていた行動も狂犬病の症状のようにも見えます。(これはなにも関係ないかも)
第一章と第二章では一種の支配関係のようなものが見えました。
第三章『R.M.Fサンドイッチを食べる』
所属している教団の教祖となる人物を探す『アナ』
その教団では体液を不浄なものとしており、元夫からの望まぬ行為で付着した体液によって教団から除名される。
除名された後に、触れただけで傷を癒す教祖足りえる女性と出会う。
この章が個人的にめちゃくちゃ面白かったです。
というのも、一番コメディ色が強く、思わず吹き出しそうになってしまいました。
けどまぁ、この章もどういう解釈をすればいいのか良く分かりません。
この映画を支配者と被支配者のような構図を見せたいのであれば、第三章では分かりやすく教祖と信者という設定になっています。
しかし、この章ではそんな雰囲気を感じることもなく心の中で大爆笑でした。
このコメディ色強めのせいで、そういう雰囲気を感じ取れなかった可能性もありますが、そうさせた理由もありそうにも思えます。(結局の所、なんも分かってない)
そういえばアナは、常に猛スピードで車を走らせていましたね。これは最後の伏線でしかないのかな?
あとがき
ここまで読んでいただいた方はありがとうございます。
いかがでしたか?
良く分からなかったんじゃないですか?
中途半端にネタバレしているんでそりゃそうなんですが、観た人もきっと完璧な解釈は出来ていないんじゃないでしょうか?
そうなると分かっていても見てしまうのがこの監督の魅力なんでしょうね。
仕事明けからの残業からのレイトショーでこの作品を見に行ったので、寝てしまうのを恐れていましたが、第一章の中盤からは逆に目が冴えくぎ付けになっていました。(正直、冒頭少しだけうつら、うつらしてました)
エログロのシーンの強烈さもありますが、何と言ってもあの音楽。
不協和音のような不気味なピアノの音。
キューブリック映画の『アイズワイドシャット』を思い出しました。
確か『ヨルゴス・ランティモス』監督はスタンリーキューブリックに影響を受けたみたいな話をどっかで聞いたような覚えがあります。
映画におけるBGMがここまで重要なのかと再認識しました。
第一章のラストで車で何回も轢くシーンにかかるBGMはマジで怖かったです。
音楽もそうですがエログロのシーンもかなり強烈で、エログロと言うか生々しいイメージ。
スプラッター映画の『グリーンインフェルノ』とかは観てて「グロっ」て感じですが、この監督の作品は生々しいですよね。
こういうのって現実味というか身近に感じるから生々しく見えてしまうんでしょうか?(絶対に身近にはない)
まぁそんなこんなで、かなり人を選ぶ映画になっていますが、ハマる人はドハマりする映画ですので観ていない人は機会があれば視聴してみてはいかがでしょうか?